はじめに|そうだ、龍泉洞に行こう
夏の終わり、まだまだ暑さが残る時期に「涼」を求めて旅に出るなら・・・
そんな時にふと頭をよぎったのが、小学生の頃に家族旅行で訪れた龍泉洞でした。
日本三大鍾乳洞のひとつ、龍泉洞。
地底湖に差し込む光と水の透明感は、写真や映像では伝わりきらない、底知れぬ青さを湛える神秘的なブルー。
「一人でどこか旅に出たい」と思ったとき、真っ先に候補に挙がる場所に岩手を思い浮かべる人は多くないかもしれません。
けれど、岩手には「ここにしかない青の世界」が広がっています。
子どもながらに胸を打たれたあの光景を、もう一度自分の目で確かめたい。
そう思い立ち、東京から1泊2日の弾丸ひとり旅へ。
そして岩手といえば、海鮮も外せません。
旅の目的は「龍泉洞の青」と「三陸の海の幸」。
都会のざわめきから離れたい、ひとりでゆっくり心を整えたい。
岩手は、そんな気持ちに寄り添ってくれる最高の旅先です。
アクセスと天気|東京から盛岡へ
東京、上野駅から岩手の盛岡駅までは、東北新幹線で約2時間半。
盛岡駅に到着したら、龍泉洞を含む岩手観光はレンタカーが必須!
駅前にはレンタカーショップも多いので、事前に予約しておくと安心です。


旅の前にチェックしたい天気のこと
盛岡は夏は8月の平均気温が28℃、冬は降雪も多く、マイナス10度℃にも届くかという気温。
旅行の予定は6~9月に組むのがオススメ。
そして龍泉洞の中は、年間を通じて10度前後に保たれているため、真夏でも羽織りものがあると安心です。
1日目|龍泉洞と海沿いの宿で出会う癒し
盛岡名物・冷麺で旅のスタート
まずは腹ごしらえ。盛岡といえば冷麺!
盛岡駅近くにある大人気の老舗、盛楼閣でいただいた一杯は、鮮やかな赤いスープ。
なのに、控えめな辛さと深い甘みの絶妙なバランス、弾力のある透き通った麺。

暑さで火照った体にスッと染み渡り、これからの旅を後押ししてくれるようでした。
◆盛楼閣 基本情報
住所:岩手県盛岡市盛岡駅前通15-5 2階
アクセス:JR盛岡駅より徒歩2分
営業時間:11:00~24:00
料金:冷麺(並盛)1500円
公式サイト:https://www.gen-plaza.com/
龍泉洞|吸い込まれるような青の世界
午後に車を走らせて向かった、この旅一番の目的である龍泉洞。
洞窟に足を踏み入れると、ひんやりとした空気が一気に肌を包み込みます。
そして、奥へ進むと現れる「地底湖ブルー」。

底まで見えるほどの透明度。
光を反射して蒼く輝いています。
鍾乳石の造形美と水の静けさがつくり出す景色は、どこか神聖さを感じさせる空間。

ひとりで訪れるからこそ、誰にも邪魔されずにその感動を心に刻むことができます。
龍泉洞の所要時間は30~40分程度ですが、周辺のレストハウスやお土産屋さん、渓流沿いの遊歩道等も楽しむなら時間には余裕をもって。
◆龍泉洞 基本情報
住所:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1
アクセス:JR盛岡駅より車1時間45分
営業時間:8時半~17時(5月~9月18時)
入場料:大人1100円
公式サイト:https://www.iwate-ryusendo.jp/
海沿いの宿・羅賀荘で味わう三陸の海
夜は海沿いの旅館・羅賀荘へ。
窓の外には太平洋の水平線が広がり、波の音が心地よいBGMに。

夕食には、三陸の新鮮な海の幸。
宿泊のプランによっては、アワビの踊り焼きや舟盛もお願いできるそう。
殻付きのままいただいたウニは、濃厚でとろけるような甘み!
わざわざ岩手まで来た甲斐を感じさせてくれる一品でした。
◆龍泉洞 基本情報
住所:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1
アクセス:JR盛岡駅より車1時間45分
営業時間:8時半~17時(5月~9月18時)
入場料:大人1100円
公式サイト:https://www.iwate-ryusendo.jp/
2日目|琥珀の輝きと浄土ヶ浜の絶景
久慈・琥珀博物館で出会う古代のきらめき
翌日は北へ向かい、久慈の琥珀博物館へ。
館内には大小さまざまな琥珀が展示されており、その透明感や色合いに圧倒されます。
数千万年前の森の記憶が閉じ込められた石を目にすると、自然の神秘を強く感じずにはいられません。
工芸品や装飾品も豊富で、自分へのご褒美に琥珀のネックレスを購入。
胸元で揺れるたびに、この旅を思い出します。
◆久慈琥珀博物館 基本情報
住所:岩手県久慈市小久慈町19-156-133
アクセス:久慈南ICより車12分
入館料:大人500円
公式サイト:https://www.kuji.co.jp/museum
三陸の海鮮丼で贅沢な昼食
久慈から海沿いに、南に車を走らせて1時間。
お昼は宮古の食堂で海鮮丼。

ウニといくらがたっぷり盛られた丼は、まさに宝石箱のよう。
ひと口ごとに海の恵みを味わい、幸せでお腹も心も満たされました。
浄土ヶ浜で感じる静かな時間
午後は宮古市の浄土ヶ浜へ。
三陸を代表する景勝地、国の名勝にも指定されています。

白い流紋岩と透き通る海が織りなす景観は、まさに極楽浄土の名にふさわしい美しさ。
宮沢賢治もこの景色を眺めたといわれ、文学の余韻を感じながら波打ち際を散歩しました。
こちらも以前家族と訪れた名所のうちの1つ。
穏やかな時間が心に沁みていきました。
◆浄土ヶ浜 基本情報
住所:岩手県日立浜町
アクセス:宮古港ICより車15分
電車の場合は三陸鉄道宮古駅より路線バス20分
駐車場:あり(無料、冬季は規制期間あり)
宮古市公式サイト:https://www.city.miyako.iwate.jp/gyosei/soshiki/kanko/4/8/2/1/1154.html
次回訪れたい岩手の景色と震災の記憶
この地底湖鍾乳洞
岩手にはまだ行きたい場所が残っています。
例えば、住田町にある滝観洞(ろうかんどう)。
龍泉洞から車で約40分、こちらも地底湖が美しい鍾乳洞です。
奥には落差29メートルの地底滝があり、ヘルメットをかぶって探検気分を味わえます。
龍泉洞とはまた違う迫力を体験できるので、セットで訪れると楽しさが倍増。
◆滝観洞 基本情報
住所:岩手県気仙郡住田町上有住土倉298-81
アクセス:滝観洞ICより車3分
電車の場合はJR釜石線上有住駅より徒歩2分
入場料:大人1100円
公式サイト:https://rokando.jp/
浄土ヶ浜の青の洞窟
浄土ヶ浜のもうひとつの見どころ、青の洞窟クルーズ。
「浄土ヶ浜マリンハウス」から出航する小舟に乗って向かいます。
今回はタイミングが合わず断念しましたが、小舟で進む先に待つ蒼い光景を想像するだけで胸が高鳴ります。
次回こそは体験したいスポットです。
「ここまで津波が来た」標識と向き合う瞬間
岩手の話をする上で、避けて通れないのは震災の記憶。
今回の旅の途中、山の上を車で走っていると、津波の浸水区間を表す標識が。

岩手県宮古市では海抜40.5メートルまで津波が駆け上がった痕跡が確認されています。
初めて標識を見かけたとき「こんなに高いところまで…」と衝撃でした。
旅の楽しさの中で、自然の厳しさと震災の記憶に触れる瞬間でもありました。
被災地は、未だ復興の最中です。
旅人として心に刻み、復興と創生を心から祈っています。
おわりに|岩手一人旅の余韻
1泊2日の弾丸旅でしたが、龍泉洞の青、三陸の海の幸、琥珀の輝き、浄土ヶ浜の静けさ――
そのどれもが心に残る思い出となりました。
次に訪れる時は、滝観洞や青の洞窟クルーズなど、まだ見ぬ岩手の景色を巡りたいと思います。
岩手は「行こう」と思い立つには少し遠いかもしれません。
でも一度足を運べば、必ずもう一度訪れたくなる。
そんな深い魅力を秘めた場所です。
夏の終わりに涼を求めて、今こそ岩手へ。
心に静かな旅を求めているなら、龍泉洞の青は、あなたを待っています。