ニュージーランド(NZ)へのワーキングホリデー。「せっかくならNZらしい仕事がしたい」「でも、どうやって探すの? 本当に稼げるの?」
そして何より、「キウイピッキングって、実はかなりきついんじゃないの?」そんな不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
私たち夫婦も、渡航前は同じような期待と不安を持っていました。
結論から言うと、キウイピッキングは「楽ではないけれど、戦略的に動けば短期間で旅の資金を作れて、仲間や思い出もできる仕事」です。
今回は、私たちが実際に体験した仕事探しから、気になる「きつさ」のリアル、そしてお給料事情まで、包み隠さずお届けします。これから旅立つあなたにとって、ひとつの道しるべになればうれしいです。
キウイピッキングとは?仕事内容を紹介
どんな仕事?ニュージーランドで人気のワケ

その名の通り、広大な農園でキウイフルーツを収穫するお仕事です。 キウイの木は、まるで藤棚のように頭上に張り巡らされています。その下に入り込み、少し上を見上げながら、たわわに実ったキウイをひとつずつ手で収穫していきます。
だいたい身長160cm以上が募集の目安になっていることが多いです。身長161cmの私は、高い枝の実には届かないときもあって少し苦労しました。逆に背が高すぎると、常にかがんでいなければならず腰に負担がかかるため、170cm台の人がいちばん作業しやすいかもしれません。
ニュージーランドはキウイの一大生産地。この時期になると求人が一気に増えること、そして「歩合制」で稼ぎやすいことから、キウイピッキングは、ワーホリ勢にとって不動の人気を誇る仕事です。
ベストシーズンは何月?
キウイの収穫シーズンは、秋にあたる3月から6月にかけて。 3月中旬から収穫がスタートし、だいたい6月上旬に終わります。まずは甘くて黄色い「ゴールドキウイ」から始まり、遅れて緑色の「グリーンキウイ」が最盛期を迎えます。
人気の仕事なので、早めの行動がカギ。2月には求人が出始めるので、もし「絶対にキウイピッキングがしたい!」と考えているなら、2月から情報収集と応募を始めるのがおすすめです。
未経験でも大丈夫?初心者が多い理由

「農業なんてやったことないし……」と心配しなくても大丈夫。 広大な農園で一気に収穫するため、かなりの人手が必要です。集まるのは私たちのようなワーホリ組や、季節労働で来ているバヌアツやトンガの人たちが中心。
毎年稼ぎに来ているベテランもいますが、ワーホリ勢は1年限定の滞在なので、必然的にメンバーの多くは初心者になります。 実際に私たちが働いていたチームでも、経験者はオーストラリア人と、ウルグアイからの移住者のふたりだけ。それ以外はみんな、初めてのキウイピッキングでした。
キウイピッキングはきつい?向いている人・向かない人
検索窓に「キウイピッキング」と入れると出てくる「きつい」「やばい」の文字。実際のところどうなのか、経験者として正直にお答えします。
体力的にきつい点・生活面の大変さ
- 首と腰への負担: 常に上を見上げての作業になるため、首が痛くなります。また、カンガルーバッグ(収穫袋)にキウイが溜まると20kg近くになり、それを背負って歩くため体力が必要です。
- 朝露とダスト: 早朝は朝露で濡れ、日中はキウイの毛(ダスト)が舞います。目に入ると痛いので、このあと紹介する装備での対策が必須です。
- 生活環境:これは選択次第ですが、収穫シーズンには多くの人が地域に集まるため、車中泊でキャンプ場生活を送る人も多々。私たちもそうでした。快適とはいえない生活環境なので、生活面でのキツさもあります。
それでも「合う人には最高」な理由
一方で、なぜこれほど人気なのか。それは「ゲーム感覚で稼げる楽しさ」があるからです。
黙々と作業に没頭するのが好きな人や、チームで協力して目標(収穫量)を達成するのが好きな人には、スポーツのような爽快感があります。
- 向いている人: 体を動かすのが好き、単純作業に没頭できる、チームプレイを楽しめる
- 向かない人: 体力に自信がない、アウトドア環境(虫や汚れ)が極端に苦手
1年間ずっとはキツくても、短期間なら楽しみながら駆け抜けられる。そんな人がキウイピッキングに魅力を感じるのではないでしょうか。
失敗しない仕事の探し方|Backpacker BoardとFacebook
「Backpacker Board」をおすすめする理由
仕事探しの方法はさまざまですが、私たちは「Backpacker Board」という求人サイトとFacebookを併用しました。
どちらかというと、おすすめなのは「Backpacker Board」です。 季節限定の仕事(シーズナルジョブ)がたくさん掲載されていて、地域や職種で絞り込めるのでとても便利。私たちは結局、ここから応募した会社で働くことになりました。
一方、Facebookには地域のコミュニティや、NZ在住日本人グループなどが多数あり、仕事だけでなく、車や家探しなど、現地で暮らすうえでの必須ツールです。 ただ、Facebookは誰でも投稿できるぶん、情報の質は玉石混交。 なので、基本はBackpacker Boardで探しつつ、Facebookで選択肢を広げたり、運よく良いご縁があればラッキー、くらいのスタンスで使うのが安心だと感じました。
もちろん、すでに働いている人からの紹介がいちばん確実です。現地でできた友だちの口コミで次の仕事を決めるのも、ワーホリならではの賢い方法です。
応募から採用連絡までのリアルな流れ

最近はワーホリ人気で「仕事が見つからない」という声も聞いていたので、私たちはとにかく数多く応募する作戦をとりました。 キウイピッキングの募集を見つけたら片っ端から応募し、サツマイモ掘りなど、ほかのファームジョブにもエントリー。
応募フォームには、自分の強みをこれでもかと詰め込みます。「車を持っています」「身長は条件を満たしています」「スポーツ経験があり体力には自信があります」「英語も話せます」「真剣に働きます!」などなど。 それでも返信がないことも多々。
私たちは6件ほど応募したなかで、2件から返事がありました。 ひとつはFacebook経由のボランティア仲介者からの連絡でしたが、詳細が少しあいまいで不安が残りました。もうひとつがBackpacker Board経由の会社。こちらはGoogleマップで会社の場所や口コミが確認でき、Instagramで昨シーズンの様子もわかったので、こちらにお世話になることに。
フォームにワーホリビザの情報や銀行口座、IRDナンバー(納税者番号、詳しくは後述)などを登録。3月の初めに「3月12日にオリエンテーションをするよ!」という連絡が入り、いよいよ私たちのキウイピッキングライフが動き出しました。
【注意点】車は必須!住み込み(キャンプ場)条件の確認
農園の規模にもよりますが、1箇所を1〜3日程度で収穫し終えてしまうため、日々違う農園へ移動します。そのため、通勤に車は必須アイテムです。
ニュージーランドでの車購入については、こちらの記事を参考にしてみてください。
また、住む場所の確保も重要です。私たちはTe Pukeという街で働いていたのですが、収穫シーズンには周辺に働き手が殺到するため、家探しは争奪戦になります。 私たちの会社は、従業員専用のキャンプ場を提供してくれました(週65ドル)。
ただキャパシティに限りがあるため、入れなかった人はフリーキャンプ場で生活したり、近くのフラット(シェアハウス)を探したりと苦労していたようです。 仕事探しと同時に、住まいの条件もしっかり確認しておくことをおすすめします。
キウイピッキングの給料事情|チーム歩合制は稼げる?
最低賃金保証+歩合(ボーナス)の仕組み
さて、もっとも気になるお給料の話です。 基本的には、最低時給(2024年当時は25ドル/約2,225円 ※1NZドル=89円換算)が保証されています。ワーホリには有給休暇がないぶん、Holiday pay(8%)が上乗せされているのも嬉しいポイント。
最初のうちは収穫が遅いので時給での支払いになりますが、慣れてくると、歩合で給料をもらえるようになってきます。 私たちが働いた会社では「チーム歩合制」を採用していました。 ゴールド、グリーンなど種類ごとに「ビンレート(木箱1つあたりの単価)」が決まっていて、チーム全員で収穫したビンの数で給料が決まります。 それをチームの人数で割る仕組みです。

ドイツ人のチームメイトが、「今日は時給いくらで働けたのか」を毎日計算してくれていたのですが、条件が良いときは時給40ドル(約3,560円)以上になることも! チームの連携がよくなって収穫スピードが上がったり、実が大きくてすぐに箱がいっぱいになったりすると、ゲーム感覚で給料が跳ね上がります。
夫婦で働いて貯金はできた?金額公開!
私たちは3月中旬から5月頭までの約1ヶ月半働きました。 気になる夫婦ふたりの稼ぎは……手取りで96万3,368円! ひとりあたりの月収(手取り)に換算すると、約32万円。
これはかなり稼げたほうだと思います。私たちは1年間のワーホリで、就労したのはこの期間だけでしたが、年間のトータル収支が70万円弱の赤字で済んだのは、間違いなくこのキウイ貯金のおかげです。
シーズン序盤と終盤で稼ぎはどう変わる?
とはいえ、自然相手の仕事なので波はあります。 シーズン序盤は単価の高いゴールドキウイが多く稼ぎやすいですが、後半のグリーンキウイに切り替わる時期には、収穫待ちで休みが続くことも。 私たちはゴールドが終わるタイミングで辞めましたが、その後チームメイトたちはしばらく休みだったようです。長く働けば倍稼げるかというと、そう単純ではないのが難しいところ。
それでも、全員が初心者の状態でスタートでき、稼ぎやすいゴールドキウイの時期に働ける「3月スタート」は、やはり狙い目だと思います。
キウイピッキングを始めるための準備リスト
銀行口座やIRDナンバーなどの手続き
ニュージーランドで働くためには、「IRDナンバー」という納税者番号が必要です。この取得には銀行口座が欠かせません。
入国したら、まずやるべきは銀行口座の開設です。
大手はANZとBNZ。私たちは日本にいる間にANZの開設手続きを進めていたのですが、混雑しすぎて全然進まず……。現地で急きょBNZを開設しました。結果的にBNZの自動車保険に安く入れたので、怪我の功名でした。
必須アイテム(車・作業着など)
車は先ほどお伝えした通り必須です。 作業着でのおすすめは、滑らない靴。朝露で地面が濡れていることが多いので、私はワークマンの防水シューズを愛用していました。
また、キウイのダストが目に入ると痛いので、メガネやサングラスもあると便利。曇りの日はサングラスだと暗すぎるので、伊達メガネを買っている仲間もいました。 そして、ハットと虫除けネット! これは日本でAmazonで購入していったのですが、現地で「それいいね、どこで買ったの?」と何度も聞かれるほどの神アイテムでした。
まとめ|実際の体験が気になる方へ

- キウイピッキングをやりたい方は2月から仕事探しスタートがおすすめ
- 車は必須。住む場所の確保も計画的に
- チーム歩合制はゲーム感覚で給料アップが狙える
もしあなたが「ニュージーランドらしい体験をしたいけれど、何から始めたらいいかわからない」と迷っているのであれば、ぜひキウイピッキングに挑戦してみてください!
準備さえしっかりすれば、キウイピッキングは旅の資金を稼ぐための強力な選択肢になります。未経験者でも、英語に自信がなくても、体力とやる気があれば誰でもスタートラインに立てる仕事です。短期間で集中的に稼ぎたい!という人にもオススメ。
それだけではなく、自然の中で働く気持ちよさ、仲間との出会いなど、キウイピッキングを通して得られる経験も、かけがえのないものです。
「実際の生活は?」「仕事ってきついの?」「やって良かった?」
そんなリアルな車中泊生活と労働の様子は、次の記事でお届けします!





