ニュージーランドワーホリ|暮らすような旅 ― WWOOFでファームステイという選択

ワーキングホリデー・海外生活
ワーキングホリデー・海外生活
ライター
Yuka

旅・料理仲間とゼロ日婚をし、夫婦で1年間ニュージーランドワーホリへ。その地に住む人たちと交流しながら、現地の食文化を味わうのが好き。“暮らすように旅する”ことを大切にしています。人生を見つめ直すヒントをくれる、旅の魅力を伝えていきたいです。

ワーホリと聞くと、語学学校に通ったり、カフェや牧場で働いたり
そんな日々を思い浮かべる方が多いかもしれません。

そのほかの選択肢として「現地の家庭に入り込む暮らし方」があるのを知っていますか?

大自然の中で、家族と食卓を囲み、動物と過ごし、畑の土に触れる日々。

それができるのが、WWOOF(ウーフ)という仕組みです。

今回は、ニュージーランドで実際にWWOOFを体験した筆者が、「そもそもWWOOFってなに?」というところから、その魅力や過ごし方までをご紹介します。


WWOOFってなに? 

WWOOFとは、「World Wide Opportunities on Organic Farms」の略。

世界中に広がるネットワークで、有機農家やサステナブルな暮らしを実践する家庭に滞在し、畑仕事などを手伝う仕組みです。

お金のやりとりはなく、労働の代わりに宿と食事を提供してもらうエクスチェンジサービスで、50年以上前にイギリスで生まれました。そこから世界中に広まり、今では130か国以上にネットワークがあります。

ニュージーランドでは特にホストが多く、都市部から離れた小さな町や村にまでその輪が広がっています。

仕事内容は、畑や果樹の手入れ、ガーデニング、牛や羊の世話、家の掃除などさまざま。一日数時間の作業のあとは、のんびりと自由な時間を過ごすことができます。

観光地を駆け足でめぐる旅とも、一日中働く生活とも違い、WWOOFでは「誰かの日常の中で生きる」という体験ができます。

それは、旅と暮らしのあいだにある、ちょっと特別な時間です。


WWOOFの魅力

私は夫と一緒にワーホリでニュージーランドを訪れ、おもにWWOOFを通して19の家族と生活を共にしました。

それぞれ違った暮らしがありますが、どの家にも、自然とともに生きる穏やかな時間が流れています。

素敵だなと思う家族に出会うたびに、「自分たちはどんな家族になりたいだろう」と考える機会にもなりました。

一緒に働き、一緒にごはんを食べて、夜には語り合う。

そんな時間の中で、彼らがどんな価値観を持って、何を大切にしながら生きているのかを知ることができます。違う国で暮らす人生の先輩たちの考えに触れることで、生き方の選択肢が広がりました。

私たちは夫婦で体験しましたが、WWOOFの魅力は夫婦旅だけのものではありません。

ひとりで訪れる人も多く、それぞれがホストファミリーとの時間を通して、新しい自分を見つけています。

生活の中に入ると、ことば以上に「暮らしそのもの」から学ぶことがたくさんあります。英語が苦手な友人も、長い時間を過ごす中で、ホストファミリーとの信頼関係を築いていました。

WWOOFは、誰にでも開かれた学びの旅なのです。


WWOOFのはじめ方

ニュージーランドのWWOOFサイトで会員登録をします。登録料は年間25NZドル、ペアで登録する場合は30NZドル(2025年10月現在)。

ニュージーランドのWWOOFサイトはこちら

登録後は、自分のプロフィールを作成。プロフィールには、できることや体験してみたいことを書きます。農業の経験がなくても大丈夫。大切なのは「学びたい」という姿勢です。

会員登録が済んだら、ホストのプロフィールを見て自分に合いそうな家を探します。レビュー機能もあるので、ほかの人たちの体験を参考にしながら選べます。

お手伝いしたいと思うホストが見つかったら、サイト内のメッセージ機能で連絡を取り、滞在日程をすり合わせ。決まった日に指定された住所に向かい、滞在が始まります。

なお、WWOOFにもワーキングホリデービザなど、ニュージーランドで働けるビザが必要です。

これだけ準備しておけば、誰でも気軽にWWOOFの生活を始められます。


どんな暮らしをするの?1日の流れ

食生活は家によりますが、朝は、冷蔵庫の食材を使って好きにごはんを作ることが多いです。オートミールのおかゆ「ポリッジ」は、ニュージーランドで覚えた味。牛を飼っている家では、しぼりたてのミルクから作るヨーグルトが絶品でした。

仕事は1日4〜5時間ほど。午前中で終える家もあれば、お昼をはさんで午後まで作業する家も。

ホストが隣で教えてくれることもあれば、初日にやり方を教わって、あとは自分のペースで進めることもあります。

畑の手入れ、動物の世話、チーズ作り……内容は家ごとにさまざまです。

午後はフリータイム。近くのハイキングコースへ出かけたり、部屋でゆっくり読書をしたり。その土地の空気に包まれながら、心が落ち着く時間です。

夕方になると、ホストが夕飯を作ってくれることが多く、ときには一緒にキッチンに立つことも。日本料理をふるまうと、とても喜ばれました。

食卓では、仕事の話や家族のこと、暮らしの知恵など、いろんな話題が飛び交います。ただ“手伝う”のではなく、“いっしょに暮らす”――そんな感覚に近いでしょうか。

2週間程度の短い滞在でも、帰るころには「また帰っておいでね」と言ってもらえる。そんなあたたかい関係が生まれるのも、WWOOFならではです。


まとめ|WWOOFは心が豊かになる旅

WWOOFは、旅と暮らしのあいだにある体験です。

朝、鶏の声で目を覚まし、昼は畑で野菜を収穫。ティータイムにはキッチンから焼きたてのケーキの香りが漂い、日が暮れたら、暖炉に火を灯す。

そんな何気ない時間の積み重ねが、いつのまにか心をやわらかくしてくれます。

働くでも観光するでもない、“暮らす旅”。目の前にある生活を大切にする人たちと過ごすうちに、自分の中の時間の流れが少しずつ整っていくのを感じます。

WWOOFでの暮らしは、「豊かさってなんだろう?」を静かに問い直すきっかけになります。忙しい現代社会に生きる私たちにとって、WWOOFでの生活はかけがえのない時間であり、その先の人生で立ち返るような大事な経験になりました。

観光ではなく“生き方を探す旅”。

もしワーホリでの過ごし方に迷っているなら、WWOOF生活を始めてみませんか?

Yuka

旅・料理仲間とゼロ日婚をし、夫婦で1年間ニュージーランドワーホリへ。その地に住む人たちと交流しながら、現地の食文化を味わうのが好き。“暮らすように旅する”ことを大切にしています。人生を見つめ直すヒントをくれる、旅の魅力を伝えていきたいです。

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