【2025最新版】おてつたびとは?旅と地域が静かに交わる体験|北海道で過ごした2週間のこと

旅のガイド
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ライター
kohei

2022年10月〜2024年3月、日本全国47都道府県を車中泊で巡る旅を実施。
旅の途中で出会った300名以上の人々の笑顔をカメラに収め、写真と言葉で「その人らしさ」を切り取ってきました。
現在はニュージーランドを拠点に活動中。
南半球の豊かな自然やローカルの暮らし、旅の中で出会う“心が動く瞬間”を、写真と文章で発信しています。

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はじめに|旅と“暮らしの匂い”が混ざり合うとき

旅をしていると、目的地の景色以上に、
その土地で暮らしている人の声や、生活のリズムに心を掴まれる瞬間があります。

「この町の、もっと深いところを知りたい。」

そんな気持ちの延長線上にあるのが、
旅をしながら地域の仕事を手伝う 「おてつたび」 という選択肢です。

2025年には流行語大賞にもノミネートされ、
観光でも移住でもない “第三の旅” として全国で広がりつつあります。

この記事では、

  • おてつたびとは何か(仕組みと特徴)
  • 僕が北海道・平取町で実際に体験した2週間のこと
  • メリット・注意点・「おてつたび きつい?」という不安への答え
  • これから始める人のための案件選びのコツ

を実際に利用した旅人の目線でお伝えします。


おてつたびとは?|旅人と地域をつなぐ短期お手伝いサービス

おてつたび(https://otetsutabi.com)は、
旅人と、短期間だけ人手が欲しい地域の仕事をつなぐマッチングサービスです。

公式が掲げているテーマは、
「観光以上、移住未満の新しい関係づくり」

農家さんや宿、観光施設、カフェ、イベント運営など、
繁忙期だけ人手不足になる現場に、旅人が「お手伝い」として入ります。

特別なスキルは必要ありません。
作業内容も「未経験歓迎」のものが中心なので、

  • 旅の途中で少し働きたい人
  • 地域の暮らしに触れてみたい人

が、一歩を踏み出しやすい仕組みになっています。

おてつたびの本質は、
働くことを入口に、地域の暮らしへ静かに入り込んでいくこと だと感じています。

観光では見えない生活のリズムや、人の温度に触れ、
滞在が終わっても「また帰りたい」と思える関係が生まれる。
そんな、旅と地域の新しい交わり方です。


なぜ2025年、おてつたびが注目されたのか

旅の価値観が「観光 → 暮らし」へ静かに変化している

おてつたびが広まった理由は、
単にサービスが有名になったから、だけではないと思います。

もちろん、仕組みが分かりやすく、運営が丁寧であることは大きな強みです。
それに加えて、旅そのものの価値観が変わり始めている ことが、2025年の大きな追い風になりました。

これまでの旅は、
「どこへ行くか」「何を見るか」が中心でした。

でも今、多くの旅人が求めているのは、

「その土地でどんな時間を過ごすか」
「そこに暮らす人と、どんな関わり方ができるか」

という、暮らしの温度に触れる旅 です。

観光地をテンポよく巡るよりも、
その地域に少し混ぜてもらうような時間。
写真には写らない、匂いや空気を感じる旅。

そうした “旅のシフト” に、自然にフィットしたのがおてつたびでした。

SNSで“リアルな体験談”が広がりやすかった背景

もうひとつの理由は、SNSとの相性の良さです。

  • 「#おてつたび」で検索すると、農家・ゲストハウス・お祭りなど、現場の空気が伝わる投稿がたくさん出てくる
  • 旅人と地域の人が一緒に写っている写真が多く、「関係性の旅」が可視化されている

こうした 一次情報の体験談 が広がったことで、

「おてつたび 気になる」
「おてつたび って何?」「おてつたび って大変なの?」

といった検索が一気に増えました。

おてつたびは、
今の旅人が求めている価値に、まっすぐ応えてくれるサービスだからこそ、
2025年に大きく注目されたのだと思います。


北海道・平取町で過ごした2週間|僕が体験したおてつたびの価値

幌尻岳の麓で初めて触れた“働く風景”

2023年6月。
日本一周の車中泊旅の途中で、旅のリズムを少し変えたくなり、
北海道・平取町のブロッコリーファームのおてつたびに応募しました。

滞在先は一軒家のシェアハウスで、2人で住むには十分すぎる広さ。
オーナーさんが通勤用の車まで貸してくださり、
毎朝、その車で畑へ向かいました。

幌尻岳を背に走る一本道。
左右には広い牧草地と森が続き、
「今、自分は北海道で“暮らすように働いているんだな」と、じわっと実感する通勤路でした。

苗植え作業の日々で感じた自然とのリズム

僕が参加したのは、苗を植える“プランティング”のシーズンです。

機械の後ろを歩きながら苗を整えていく作業は、
見た目はシンプルですが、とても繊細でした。

  • 風の強さ
  • 土の柔らかさ
  • 苗の向きや間隔

少しずつ違う条件を確かめながら、畑が整っていきます。

力仕事の日もあれば、屋内でコツコツ行う軽作業の日もありました。
どこまでも続く北海道の大地の中で、
農作業の大変さと、その中にある楽しさを、身体で知る時間でした。

働く旅と遊ぶ旅が溶け合う、地続きの時間

休みの日には、襟裳岬や富良野へ足を伸ばしました。
おてつたび先を拠点にしながら、北海道のあちこちに出かける感覚です。

朝は畑で働き、
夕方から夜にかけては、温泉に入ったり、ローカルスーパーを覗いたり、
休日には少し遠くまでドライブしたり。

「働く旅」と「遊ぶ旅」が切り離されることなく、
そのまま地続きになっていた2週間でした。


おてつたびの魅力|旅人目線で感じた4つの価値

① 生活の温度に触れられる

おてつたびの一番の魅力は、
観光だけでは決して触れられない “暮らしの中心部” に入り込めることです。

朝のミーティングで共有される、畑とビジネスの熱い話。
オーナーがなぜ北海道にきたのか、なぜブロッコリーを始めたのかをさまざまな視点で話してくれました。
畑に立った瞬間に鼻を抜ける、湿った土と若い苗の匂い。
地元の人が当たり前のように話す、季節の感覚。

滞在中には、畑の近くに住む方に声をかけていただき、
夜にお家へ招いてもらったこともありました。
熊肉をご馳走になり、手作りの薪サウナに入れていただく。
火のはぜる音と湯気の匂いが、今でも鮮明に残っています。

「この土地で生きてきた人だけが知っている時間」に、
旅人の自分が少しだけ混ぜてもらっているような、不思議な心地よさがありました。

旅は本来、「どこを見るか」よりも「どんな時間に触れるか」。
おてつたびは、その本質に静かに近づかせてくれる仕組みだと感じます。


② 宿泊費を抑えて旅を続けられる

長期旅をしていると、いちばん大きな出費は宿泊費です。
ここがネックになって旅を続けられなくなる人も多いと思います。

おてつたびには、

  • 宿泊費が無料、もしくはかなり抑えられる案件が多い
  • 1〜2週間単位で滞在できる

という特徴があり、「暮らすように旅する」ための土台 をつくってくれます。

ワーホリ前の準備期間や、
各地を転々とするバックパッカーとの相性も良く、

「旅を続けたいけれど、お金が心配」

という人にとって、心強い選択肢になると思います。


③ 人との距離が近づき“関係性の旅”が生まれる

旅先で人と出会うことはよくありますが、
一緒に働くと、人との距離の縮まり方がまったく違います。

同じ畑で汗をかき、同じ夕日に照らされながら帰り、
その日の出来事を話しながらご飯を食べる。

そんな時間を積み重ねるうちに、
「観光で出会った人」ではなく、
「一緒に過ごした時間を共有した人」 になっていきます。

今でも、平取町で出会った方々とはSNSなどでつながっていて、
「またお手伝いに行きたい」と素直に思える場所になりました。

おてつたびには、
“関係性の旅” が生まれる土壌 があると感じます。


④ 小さな達成感が旅の記憶を濃くする

苗をまっすぐ植えられた日。
畑がきれいに整った瞬間。
「助かったよ」とかけられた一言。

そんな小さな達成感が積み重なっていくことで、
旅の記憶がぐっと濃くなります。

観光だけの旅と違い、
「この土地に自分も少しだけ貢献できた」 という実感が残るのは、
おてつたびならではだと思います。

旅の写真はいずれ色あせるかもしれませんが、
誰かの暮らしに一瞬でも混ぜてもらった記憶は、長く心に残ります。


おてつたびはきつい?|体験して分かった正直なところ

「おてつたび ってきついのかな?」
僕も実際に働く前はとても不安でした。
そして、体験してみて感じたのは、

  • 農作業はそれなりに体力を使う
  • 朝が早い現場も多い
  • 生活環境(部屋・設備・食事など)は案件によってバラつきがある
  • 人との相性によって、体験の満足度が大きく変わる

というリアルでした。

正直に言えば、
“楽なだけの旅” を求めている人には向きません。

ただ、それは「ブラックできつい」という話ではなく、
“暮らすように旅をする”ために必要な負荷でもあります。

自分の体力や、共同生活の向き・不向きを理解したうえで選べば、
「合う人には最高の体験になる」と、自信を持って言えます。


おてつたびを始める人へ|後悔しない案件選びのコツ

おてつたびは、どの案件を選ぶかで体験が大きく変わります。
初めての方ほど、次のポイントを意識して選んでみてください。

興味あるジャンルを選ぶ

農業・宿泊・観光・イベント・カフェ…と、ジャンルはさまざまです。
疲れていても「ちょっと楽しみだな」と思える分野を選ぶと、
心の余裕がまったく違います。

「なんとなく」で選ぶより、
少しでもワクワクする案件を選ぶこと をおすすめします。

初回は1〜2週間がベスト

3週間以上の案件もありますが、
環境や共同生活、仕事内容に慣れるには時間がかかります。

初めての方には 7〜14日間 くらいがちょうど良いと感じました。
「自分に合っているか」を確かめるには十分な長さですし、
もっといたくなったら、次は長期で挑戦すればOKです。

仕事内容の“具体”を必ず読む

同じ“農業”でも、

  • 力仕事が多いのか
  • 屋内作業が中心なのか
  • 朝の集合時間や1日の流れはどうか

によって、体感は大きく変わります。

募集ページの仕事内容は、
「自分の体力や生活リズムと合うか」 を意識して、細かくチェックするのがおすすめです。

生活環境が満足度を左右する

おてつたびでは、仕事以外の時間もかなり長くなります。
その時間を快適に過ごせるかどうかは、生活環境にかかっています。

  • 個室か相部屋か
  • 部屋や共有スペースの清潔さ
  • 食事の有無
  • Wi-Fi環境
  • 近くにスーパーやコンビニがあるか

特に初めての方ほど、ここはしっかり見ておくと安心です。

口コミは“悪い口コミ”こそ宝

口コミは、良いものだけでなく、
少しネガティブなものほど参考になります。

  • ハードさについての声
  • 人間関係でもやっとした点
  • 想像とのギャップ

など、実際に行った人にしか書けない情報が詰まっています。

そのうえで、良い口コミも読みながら、
「自分はどう感じそうか」をイメージしてみると、ミスマッチを減らせます。

旅の目的と案件が一致すると、一気に世界が変わる

最後に、一番大事なのは 「旅の目的を言葉にしておくこと」 です。

  • 地域の暮らしに触れたいのか
  • 長期旅の費用を抑えたいのか
  • 体力仕事に挑戦してみたいのか
  • 人との出会いを楽しみたいのか

目的がはっきりしているほど、
選んだ案件が「正解」になりやすくなります。


まとめ|旅の深さは「誰と、どう過ごすか」で変わる

北海道・平取町で過ごした2週間を振り返ると、
そこには観光だけでは決して触れられない “生活に近い旅の形” がありました。

大変な仕事をみんなで乗り越えたこと。
シェアハウスでの談話。
北海道の満点の星空。

ひとつひとつが、今でも写真のように心に残っています。

おてつたびは、地域を救う魔法の仕組みではありません。
けれど、旅人がその土地の一部になるための “静かな入口” です。

もしあなたが今、

「観光だけの旅では、なんだか物足りない」

と感じているなら、
一度おてつたびの扉を叩いてみてほしいと思います。

旅と暮らしの境目が、そっと溶けていく瞬間に、
きっと出会えるはずです。

おてつたびについて|詳しくはこちら

おてつたびの仕組みや募集案件の詳細は、公式サイトで確認できます。
仕事内容や滞在環境は地域ごとに異なるため、まずは気になる案件を眺めてみるのがおすすめです。

▶ おてつたび公式サイト
https://otetsutabi.com

「旅の形を少し変えてみたい」
そう感じたタイミングで、そっと覗いてみてください。

kohei

2022年10月〜2024年3月、日本全国47都道府県を車中泊で巡る旅を実施。
旅の途中で出会った300名以上の人々の笑顔をカメラに収め、写真と言葉で「その人らしさ」を切り取ってきました。
現在はニュージーランドを拠点に活動中。
南半球の豊かな自然やローカルの暮らし、旅の中で出会う“心が動く瞬間”を、写真と文章で発信しています。

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