梅雨の旅に、どんなイメージを持っていますか?
「雨で観光が楽しめない」「荷物が濡れるし、出かけたくない」
そんなふうに思われがちなこの季節。
でも、旅人の目線で全国をめぐってきた中で、私はむしろ「雨の日こそ美しい」と感じる瞬間に、たくさん出会ってきました。
静かに雨が降るトンネルの中、水面に反射する光。
洞窟の中で感じた、地球の深呼吸のような空気。
傘の音を聞きながら、ぬくもりのある定食を食べた日のこと。
今回は、KOPPICが提案する“雨の日だからこそ訪れたい絶景”と、しっとりとした空気に包まれた“やさしい時間の過ごし方”を、実体験をもとにご紹介します。
雨でも感動できる。心に残った「静かな絶景」

清津峡トンネル(新潟県)|水鏡に包まれる幻想の世界
新潟県十日町市にある「清津峡トンネル」は、SNSでも話題になった“水鏡”の絶景スポット。
実はこのトンネル、雨の日こそ真価を発揮します。
トンネル内は屋根付きで濡れる心配がなく、奥に広がる絶景空間では、雨粒が水面を揺らし、幻想的な模様を描きます。
静かなトンネルの中で、響くのは自分の足音と、ぽつぽつと水が落ちる音だけ。
その時間は、まるで日常と切り離された“異空間”。
雨の旅は不便なこともあるけれど、こうして「景色と自分だけの時間」が持てる贅沢は、雨の日ならではの特権かもしれません。
清津峡トンネル(新潟県十日町市)
公式ホームページ:
https://nakasato-kiyotsu.com
住所:新潟県十日町市小出癸2119-2
アクセス:
JR「越後湯沢駅」より車で約40分
または「十日町駅」からバス+徒歩約20分
龍泉洞(岩手県)|地底湖に広がる、静寂と青
「雨の日でも関係なく楽しめる絶景」としておすすめしたいのが、岩手県岩泉町にある「龍泉洞」。
日本三大鍾乳洞のひとつに数えられるこの洞窟は、年間を通して内部の気温が10度前後と一定で、外の天候に左右されず楽しめます。
とくに心を奪われるのは、“ドラゴンブルー”と呼ばれる地底湖の青。
照明に照らされた水面は、ため息が出るほど澄んでいて、まるで時間が止まったかのよう。
洞窟の中は、雨音すら聞こえない静けさが広がり、ひとりきりで呼吸を整えるような、心のリトリートのような感覚を味わえます。
龍泉洞(岩手県岩泉町)
- 住所:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1
- アクセス:
JR「盛岡駅」よりバスで約2時間半(岩泉町まで)
「龍泉洞前」バス停下車すぐ - 公式ホームページ:
https://www.iwate-ryusendo.jp
雲昌寺(秋田県男鹿市)|雨に濡れる紫陽花と祈りの風景
紫陽花の名所は数あれど、「雨の日に一番似合う場所」として心に残っているのが、秋田県男鹿市の雲昌寺。
海のそばに位置し、境内の斜面に咲く紫陽花が、曇り空の下でしっとりと色濃く輝きます。
ここで印象的だったのは、お寺の住職さんが話してくれた一言。
「雨の日にしか見えない色があるんですよ」
その言葉通り、晴れの日の鮮やかさとは違う、落ち着いた青や紫が、雨粒をまとって息づいているようでした。
雲昌寺(秋田県男鹿市)
- 住所:秋田県男鹿市北浦北浦字北浦57
- アクセス:
JR男鹿線「男鹿駅」から車で約20分(またはバスで「雲昌寺入口」下車、徒歩10分) - 公式ホームページ: https://oganavi.com/ajisai/
雨だからこそ楽しめる、やさしい時間の過ごし方

小さなブックカフェ|雨音をBGMに、本の旅を
旅の途中で偶然見つけた、小さな古書カフェ。
木の棚に並んだ本と、窓の外でぽつぽつと降る雨の音。
予定を詰めこまず、カフェの片隅で一冊の本と過ごす時間。
それもまた、旅の醍醐味かもしれません。
思えばこの時間こそ、心が静かに“満たされる”瞬間だったのかもしれません。
地元の食堂|傘を閉じて、あたたかいごはんを
濡れたカバンを椅子に置き、ふうっと一息ついた地元の食堂。
定食から立ち上る湯気、カウンター越しに「ゆっくりしてってね」と声をかけてくれたおばあちゃん。
外の雨が冷たいぶん、そのぬくもりが心に沁みました。
「雨の日の旅は、あたたかいごはんが、いちばんのご褒美になる」
そんな言葉が、ふと浮かびました。
雨の日こそ、“旅の休憩日”にしてもいい
せっかくの旅だけど、雨が降ると気持ちが少し沈んでしまうことも。
でも、そんな日はあえて「旅を進めない日」にするのもおすすめです。
たとえば、
コインランドリーで洗濯しながら、カフェで一息
雨音を聞きながら、たまっていた衣類を洗い、コインランドリー近くのカフェでゆったりと。
いつもは駆け足の旅が、少しだけ立ち止まる時間になります。
コワーキングスペースで日記をまとめたり、写真を整理したり
Wi-Fiのある落ち着いた空間で、旅の振り返りや予定の整理。
外のしとしとした雨を眺めながら、静かに頭の中も整っていきます。
温泉に浸かって、心と体のデトックスを
冷えた体に染み渡る湯けむり。雨の音と温泉のぬくもりが混ざる時間は、何よりの癒し。
露天風呂なら、雨粒が湯面に広がる光景も、また一興です。
雨旅をもっと楽しむ、ちょっとした工夫
- 防水性能のある靴 or 撥水スニーカー:長靴よりも歩きやすく、移動が快適。
- ポンチョ+カメラ用リュックカバー:両手が使えて撮影もスムーズ。
- 写真のポイント:水たまりや窓の雨粒を活かすと、ドラマチックな写真に。
- 予備バッテリー+防水ポーチ:電子機器の雨対策も忘れずに。
まとめ|“晴れだけが絶景じゃない”という気づき
私たちはつい、「旅=晴れがいい」と思いがちです。
でも、雨の日にしか出会えない景色、雨の音があってこそ感じられる時間も、確かに存在します。
雨の音とともに歩いたトンネル、地底で出会った青、濡れた紫陽花のしずく。
それらは、今でも私の記憶の中で、色濃く残っています。
「晴れていなくても、旅はできる」
「雨だから見える景色がある」
そんな気づきとともに、あなたも梅雨の旅を楽しんでみましょう。