長野市から車で約50分。志賀高原の麓に、昔ながらの温泉街「渋温泉」が静かに広がっています。
石畳の路地、木造旅館、湯けむり。
どこか懐かしさを感じる景色が続き、初めて訪れた人でも自然と肩の力が抜けていく場所です。
渋温泉の最大の特徴は、九つの外湯(1〜9番湯)を巡る“湯巡り文化”が今も残っていること。
宿泊すれば、すべての外湯に入れる特別な体験ができます。
渋温泉とは?|昔から“生活の中にある温泉街”

渋温泉は1300年以上の歴史を持つ温泉地で、旅人を癒やす湯治場として長く親しまれてきました。
温泉街の中心には石畳の細い路地が通り、旅館や外湯がコンパクトに集まっています。
特徴は、観光向けというより “地元の生活と温泉が重なっている” ところ。
外湯の掃除や温度管理は、今も地域の方々が行っています。
そのため、渋温泉の湯は「観光施設」ではなく「地域の大切な湯」。
その温もりは、街を歩くと自然に伝わってきます。
渋温泉の九つの外湯|源泉かけ流しの湯を歩いて巡る(完全版)

渋温泉には、1〜9番湯までの共同浴場があり、すべて源泉かけ流し。
湯温や効能、湯船の造りがそれぞれ違うため、回るほどに温泉の奥深さを感じられます。
旅館に宿泊すると「外湯の鍵」を借りて、九つすべて利用可能。
唯一、9番湯のみ日帰り入浴(有料)ができます。
1番湯|初湯(はつゆ)
特徴: 渋温泉の“入り口”のような、ぬるめで優しい湯。
効能: 神経痛、冷え性
雰囲気: 小さめの湯船で、散策前の体慣らしにちょうど良い温度。
2番湯|笹の湯(ささのゆ)
特徴: やや熱めの湯で、体がしゃきっとする感覚。
効能: 皮膚病、湿疹
雰囲気: 地元の利用も多く、生活に根ざした“共同浴場らしさ”が強い。
3番湯|綿の湯(わたのゆ)
特徴: “美肌の湯”として知られ、湯上がりの肌がしっとり整う。
効能: 皮膚病、美肌
雰囲気: ほんのり白濁した柔らかい湯。女性人気が高い外湯。
4番湯|竹の湯(たけのゆ)
特徴: 少し熱めのすっきりした湯。
効能: 腰痛、肩こり
雰囲気: 昔ながらの浴室で、素朴な共同浴場の雰囲気が楽しめる。
5番湯|松の湯(まつのゆ)
特徴: 湯温が変わりやすく“熱め”の日が多い。
効能: 神経痛、関節痛
雰囲気: 地元の利用も多い静かな外湯。
6番湯|目洗いの湯(めあらいのゆ)
特徴: 名の通り昔は“目を洗った”と言われる歴史の湯。
効能: 眼病、疲れ目
雰囲気: 小さな湯船で落ち着いた空間。
7番湯|七繰の湯(ななぐりのゆ)
特徴: 比較的入りやすい温度。スッと馴染むやさしい湯。
効能: 関節炎、皮膚病
雰囲気: 浴室が明るく、初心者にも入りやすい外湯。
8番湯|神明滝の湯(しんめいたきのゆ)
特徴: 名前の通り、滝のように湯が注ぐ湯口が特徴的。
効能: 火傷、切り傷
雰囲気: 小ぢんまりとした外湯で、落ち着いて入れる。
9番湯|渋大湯(しぶおおゆ)
特徴: 渋温泉で最も大きく、唯一の日帰り入浴が可能。
効能: 胃腸病、リウマチ
雰囲気: 広めの浴室で、観光客にも人気の“顔”となる外湯。
日帰り入浴はここだけ(有料)
ドライブ旅の立ち寄りにも最適!
外湯の利用時間
6:00〜22:00(清掃時間あり/要確認)
※宿泊者は「外湯の鍵」を使用して入浴します。
※9番湯のみ日帰り可。
九湯めぐりの回り方(おすすめ順)
渋温泉の湯は熱めが多いので、無理せず分けて巡るのがコツ。
🔹ゆっくり巡りたい人
1番湯 → 3番湯 → 街歩き → 7〜8番湯 → 翌朝に残り
🔹体をしっかり温めたい人
2番湯 → 5番湯 → 6番湯 → 9番湯で仕上げ
🔹時間が少ない人(短時間)
3番湯(美肌)+ 9番湯(代表湯)で満足度が高い
石畳の温泉街を歩く|浴衣で歩くレトロな時間

渋温泉の温泉街は徒歩で十分に楽しめます。
浴衣に下駄というスタイルが、街の雰囲気に自然と馴染む場所。
- 明治から続く木造旅館
- 路地に漂う湯けむり
- 湯上がりの甘い香りが漂う「小古井菓子店」の温泉饅頭
- レトロ雑貨が並ぶ小さな店
- コーヒーが美味しいカフェ「fumikura」
夕暮れに街灯が灯り、石畳に反射して揺れる光は、旅情そのもの。
湯上がりの火照りを冷ましながら歩くこの時間が、渋温泉の醍醐味です。
志賀高原とのセットで楽しむ渋温泉|季節ごとの魅力
渋温泉は志賀高原の玄関口にあり、季節の旅行と組み合わせやすい立地です。
- 春:新緑が鮮やかでドライブが気持ちいい
- 夏:避暑地として涼しい
- 秋:山一帯が紅葉する絶景
- 冬:スキー場・スノーモンキー観光が人気
志賀高原までは車で約15〜20分。
ドライブ旅との相性が良く、どの季節にも魅力があります。
アクセス・駐車場情報
車の場合
- 上信越自動車道「信州中野IC」から約20分
- 温泉街周辺に観光駐車場が複数あり、ドライブでも安心
電車の場合
- 長野駅 → 長野電鉄「湯田中駅」
- 湯田中駅から渋温泉へはバス・タクシーで約7分
滞在モデルコース(1泊2日)
<1日目>
- 到着
- 1〜3番湯で軽く温まる
- 石畳を散策
- 夜の外湯を数カ所巡る
- 宿でゆっくり夕食と温泉
<2日目>
- 朝の静かな外湯を2〜3湯
- 温泉饅頭を買ってチェックアウト
- 志賀高原へドライブ
外湯だけでなく、街歩きとの組み合わせが“渋温泉の良さ”を最大に引き出してくれます。
旅の締めは、心ほどける湯時間
源泉かけ流しの湯に浸かり、街を歩き、湯治文化に触れる。
派手な観光地ではないけれど、静かに自分を整える旅ができる場所。
次の休日、ゆっくり温まりたい人にこそおすすめしたい温泉地です。
心と体をそっと休ませてくれる温泉旅が、ここにはあります。
次の休日は、ぜひ渋温泉へ。
ゆっくり、のんびり、じんわり温まる時間が待っています。



