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雪を綺麗に撮影する方法|白飛びを防ぐ設定と、ストロボで浮かび上がる“冬の瞬間”

写真とカメラの話
写真とカメラの話
ライター
kohei

2022年10月〜2024年3月、日本全国47都道府県を車中泊で巡る旅を実施。
旅の途中で出会った300名以上の人々の笑顔をカメラに収め、写真と言葉で「その人らしさ」を切り取ってきました。
現在はニュージーランドを拠点に活動中。
南半球の豊かな自然やローカルの暮らし、旅の中で出会う“心が動く瞬間”を、写真と文章で発信しています。

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雪景色を、写真に残したい

雪が降る日は、世界の空気が変わります。
音は吸い込まれ、色は薄くなり、景色との距離がふっと近づくような感覚になります。

「この静けさを、そのまま写真に残したい」。

そう思ってシャッターを切ったものの、
実際に写った写真が、

  • 雪が真っ白に飛んでしまう
  • 逆に灰色にくすんでしまう
  • 降っている雪が全然写らない

そんな経験をしたことがある人は多いと思います。

僕自身、日本一周中に雪景色の撮影をしていたとき、目の前の雪景色は透明感のある白なのに、写真ではその“温度”がなかなか残らず、何度も設定を変えて撮り直したことがありました。


一方、ストロボで降る雪を撮ったときは、肉眼では見えなかった雪の粒が突然光をまとい、そこに“もうひとつの冬”が立ち上がるような感覚がありました。

この記事では、
自然光で撮る静かな雪景色 とストロボを使って雪の瞬間を浮かび上がらせる撮影方法
この2つを、初心者にも分かりやすい形で解説していきます。


なぜ雪はうまく撮れないのか|白飛びの正体

雪景色で最初にぶつかるのが「白飛び」です。

雪はただ白いだけではなく、“光を強く反射する白” です。
そのため、カメラは雪を見た瞬間に

「明るすぎるから暗くしよう」

と判断し、露出を大きく下げてしまいます。

その結果、
肉眼より暗い、灰色の雪 が写りやすくなります。

反対に、明るさを上げすぎると今度は
ハイライトが飛んで階調が失われる
白飛びした部分は、あとから編集で戻すことができません。

雪撮影は、この「暗くなりやすい × 飛びやすい」という、相反する性質を同時に扱う必要があります。


雪を綺麗に撮影するための基本設定

初心者でもすぐ使える“設定”です。
撮影の際の参考にしてみてください。

● ISO:100〜400:
雪はノイズが目立ちやすいので低感度が安心です。

● F値:
F4〜F11:静かな雪景色 → F8〜11、ストロボ雪 → F4〜5.6(雪粒が丸く写りやすい)

● シャッタースピード:
自然光 → 1/250〜1/1000(雪の形を止める)
ストロボ → 1/60〜1/200(光を拾わせる)

● 露出補正:−0.3〜−1.0:
白飛びを避けるために“少し暗めで撮る”のが基本です。

● ハイライト警告をON:
飛んでいる部分が点滅するので、失敗が減ります。


自然光で撮る雪景色|静けさを写すために

自然光の雪景色

こちらの「白い森の写真」のような、静かな雪景色は、
自然光だけで撮ったときに最も美しく写ります。

雪の日の光は、私たちが想像している以上に柔らかく、
空全体がひとつの大きなレフ板のようになって光を拡散します。

そのため、光の方向が曖昧になり、影が弱くなり、
世界が“淡く溶けるように”写ります。

自然光雪が美しく写るポイント

  • 露出を上げすぎない
  • 白の階調を残す
  • F8〜11で雪面の質感をしっかり拾う

自然光で撮る雪は、派手さはありませんが、
“その場所の空気をそのまま閉じ込めたような写真” になります。


ストロボで撮る雪|光の粒が浮かび上がる瞬間

ストロボで撮影した雪景色

一方、こちらの写真のように、
手前に大きな雪の粒が光り、幻想的な世界が広がる写真
は、ストロボ撮影でしか生まれません。

ストロボを使うと、
レンズに近い雪だけが強く光を反射し、
丸い玉のように浮かび上がります。

背景は落ち着いて暗く、
手前の雪は光り、
奥行きが一気に生まれます。

ストロボ雪の設定(基準)

  • SS:1/60〜1/200
  • F値:4〜5.6
  • ISO:100〜200
  • ストロボ光量:1/64〜1/32(弱めでOK)

ストロボを使う雪写真は、
どこか映画のワンシーンのような“非日常感”があり、
人物撮影でも風景撮影でも特別な表現ができます。


構図で雪の“旅の温度”を写す

自然光雪は
「どこを切り取るか」 が印象を大きく左右します。

・手前に雪道を入れる
・わずかな色(木の皮など)をアクセントにする
・人物の背中を入れて旅情を足す

ストロボ雪は
「雪の層を作る」 と立体感が出ます。

・被写体の手前10〜50cmの雪に光を当てる
・背景は暗い場所を選ぶ

自分がどんな世界を伝えたいかを、考えながら撮影してみましょう


編集のコツ|自然光とストロボで分けて考える

Lightroomやスマホ編集でも十分仕上がります。

自然光の雪 → 白レベルは上げすぎない
ストロボ雪 → コントラストと黒レベルを微調整

それだけで写真の印象がぐっと引き締まります。

色温度は冬は寒色よりとして決めつけるよりもその写真のイメージで決めるほうがいいです。
必要以上の寒色は、逆にリアルな空気感と離れてしまうので要注意です。


実際に撮影した写真と設定

● 自然光の雪景色(白い森)

F8
ISO500
SS 1/1000
→ 静けさと雪の階調を残した写真です。

● ストロボで撮った降雪写真

F2.8
ISO50
SS 1/160
ストロボ1/64
→ 前景の雪が光をまとい、奥行きのある写真になります。

● 三脚を利用した雪景色

冬の妙高連山

F14
ISO50
SS 1.3
→ 反射する水辺での撮影は三脚を利用すると撮影しやすいです。

●影と光を意識した森の一枚

F13
ISO500
SS 1/640
→白飛びしないように意識して、木漏れ日を表現した。

今回の撮影で使用した機材紹介

今回の雪撮影では、次の4つの機材を使用しました。
どれも旅と相性が良く、雪景色の撮影とストロボ撮影の両方に十分対応できる組み合わせです。

SONY α7RⅢ

α7
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繊細な階調表現に強く、雪の白さや陰影のわずかな変化も丁寧に写し取ってくれるカメラです。
ダイナミックレンジが広いため、白飛びしやすい雪景色でも安心して撮影できます。

SIGMA 35mm F1.4

雪撮影と相性抜群のレンズです。
自然光では“その場の空気感”をそのまま写し、ストロボ撮影では前景の雪の粒を大きな玉ボケとして浮かび上がらせてくれます。
35mmという画角は、風景と人物のどちらも撮りやすい万能な一本です。

SONY 85mm F1.8

今回の撮影で、想像以上に活躍してくれたのがこの85mm。
圧縮効果によって背景がふわりと溶けるようにボケるため、
「雪が降るなかに人物が浮かび上がる」 ような写真が撮れます。
また、ストロボを使うと手前の雪が大きな玉ボケとなり、幻想的な世界が広がります。

旅先でポートレートを撮るときにも最強の一本で、
“旅の一瞬を切り取るレンズ” として個人的に大好きな焦点距離です。

Manfrotto Element

軽量で旅向きの三脚です。
雪の上でもしっかり安定し、自然光での低速シャッターや構図固定に役立ちます。
冬の撮影では、風が強いときに“自分の体で三脚を囲う”ことでさらに安定性が増します。

GODOX TT600

ストロボ雪撮影の主役です。
安価にも関わらず、ほしい機能は全部揃っています。
わずかな光量(1/64〜1/32)でも雪の粒がしっかり光を拾い、肉眼では見えない世界を作り出してくれます。
シンプルで扱いやすく、寒い環境でも安定して発光してくれる信頼度の高い一台です。


この機材セットで撮れる世界

自然光だけで撮ると、雪は“静けさの白”として写ります。
ストロボを使うと、降る雪が“光の粒”になって画面の前へ飛び込んできます。

今回使用した機材は、
「静かな雪」も「光る雪」も一台で表現できる組み合わせ なので、
これから雪撮影に挑戦したい人にもおすすめできる構成です。


まとめ|雪の日は、世界が二つに分かれる日です

自然光で撮れば、静かで淡い“冬の呼吸”が写ります。
ストロボを使えば、降っている“瞬間”が光として立ち上がり、物語のような一枚が生まれます。

どちらも雪が見せてくれる本当の姿であり、
どちらも旅の途中で出会うことができる特別な景色です。

次の雪の日には、ぜひ自然光とストロボの両方で撮り比べてみてください。
きっと、同じ場所でもまったく違う世界が写し出されるはずです。

その違いに気づけるようになると、冬の旅はもっと楽しくなります。

kohei

2022年10月〜2024年3月、日本全国47都道府県を車中泊で巡る旅を実施。
旅の途中で出会った300名以上の人々の笑顔をカメラに収め、写真と言葉で「その人らしさ」を切り取ってきました。
現在はニュージーランドを拠点に活動中。
南半球の豊かな自然やローカルの暮らし、旅の中で出会う“心が動く瞬間”を、写真と文章で発信しています。

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