「滝の写真を綺麗に撮ってみたいけど、設定や機材がよく分からない…」そんな方に向けて、この記事ではNDフィルターあり・なし両方の撮影方法、構図のコツ、おすすめ三脚など、滝撮影の基本を実体験ベースで紹介します。
日本で旅をすると各地で素敵な滝に出会うことができます。
今回はそんな滝を素敵に撮影する方法をお伝えします。
滝を撮る魅力とは?
- 水の“動き”をコントロールできる唯一の風景写真
- 音や空気の流れまで写真に宿るような表現ができる
- 自然のエネルギーを感じながら撮る、五感を使った撮影体験
準備する機材と理由
◯ NDフィルター(ND8〜ND64)
- 明るい時間帯でも長時間露光を可能にする減光フィルター
- 滝の水の流れを“とろ〜り”と滑らかに表現できる
◯ 三脚|おすすめ:Manfrotto Element シリーズ
- 水辺の撮影は手ブレ厳禁!長時間露光時には三脚が必須
- Manfrotto Elementは軽量&コンパクトながら安定感抜群
- 登山や旅との相性も◎で、バックパックにも収まる
◯ レリーズ or セルフタイマー
- シャッターを押す瞬間のブレを防ぐため。なければアプリでも代用可能
◯ レンズ:広角〜標準(16-35mm、24-70mm、35mm)
- 全景を写す広角、流れを切り取る標準、構図で選ぶ
NDフィルターあり・なしの設定比較
NDフィルター【あり】の場合
シャッタースピード:1〜5秒
F値:f8〜f11(全体をくっきり)
ISO:100
→ 水が絹のように流れ、しっとりとした雰囲気に仕上がる。
NDフィルター【なし】の場合
シャッタースピード:1/500〜1/1000
F値:f2.8〜f4(背景や水しぶきにボケ感を持たせる)
ISO:100〜400(明るさに応じて)
→ 水の動きが「凍ったように」写り、迫力とリアリティが強調される。
構図のポイントと工夫
- 前景(岩・葉)を入れて奥行き感を出す
- 三分割構図で滝を片側に置くと自然なバランスに
- 縦構図は高さ・流れを強調でき、滝撮影と相性抜群
- 日の丸構図でも“滝そのものの存在感”を強調したいときに有効
- リーディングライン(岩や川の流れ)を活かすことで視線誘導がしやすくなる
実際に使える撮影テクニック
- 撮影前にフィルターの汚れ・水滴をチェック(特に霧の多い滝)
- 滝のしぶきでレンズが濡れやすい→こまめに拭く+フード必須
- PLフィルター併用で水面の反射を除去&緑の彩度UPもおすすめ
作例紹介|実際の写真と設定データ
実際に撮影した滝写真をもとに、撮影時の意図・設定・使用機材を解説します。
作例1:桑の木の滝(NDフィルター使用)

- 撮影地:和歌山県 桑の木の滝
- 撮影時間:午前10時ごろ
- シャッタースピード:30秒
- F値:f10
- ISO:50
- 使用機材:Sony α7RⅢ + 35mm f1.4 +Manfrotto Element
- 意図:NDを利用して、水の流れを表現。また手前に流れを配置し奥行きを演出。
作例2:吐竜の滝(NDフィルターなし)

- 撮影地:山梨県 吐竜の滝
- 撮影時間:午前9時(晴天)
- シャッタースピード:1/6
- F値:f16
- ISO:64
- 使用機材:Sony α7RⅢ + 35mm f1.4 +Manfrotto Element
- 意図:NDフィルターがないときは、F値を上げてシャッタースピードをなるべく遅くさせます。
作例3:宮崎県 高千穂峡(NDフィルターなし)

- 撮影地:宮崎県 高千穂峡
- 撮影時間:午前9時(晴天)
- シャッタースピード:1/1000
- F値:f1.4
- ISO:2500
- 使用機材:Sony α7RⅢ + 35mm f1.4
- 意図:ボートに乗りながらの撮影のため、シャッタースピードを早くして、動きを止めました。
暗めに撮影するのがポイント。
滝撮影でよくある失敗と対策
- 手ブレしてしまう → 三脚+2秒タイマーで解消
- 白飛びしてしまう → NDフィルターの濃度を調整/露出補正-0.3〜-1.0
- レンズが曇る/濡れる → フード+防水クロスで対応、こまめにレンズチェック
撮影スポット選びのポイント
- 明暗差が少ない曇天や日陰の滝は撮りやすくNDの効果も活きやすい
- 橋や遊歩道など安全に構えられるポイントを探す
- できるだけ地元の人や観光案内で「滝の水量・季節変動」も事前チェック
撮影後のLightroom編集ポイント
- ハイライトを抑えてディテールを出す(-30〜-50)
- シャドウを下げて滝周辺の暗部も整える
- 白い部分を上げることで、メリハリを表現。
- ホワイトバランス微調整で「冷たい/暖かい」印象を演出
- 明瞭度やかすみの除去で質感調整
まとめ|滝撮影は“準備と工夫”がすべて
NDフィルターを使えば幻想的に、使わなければダイナミックに。滝という自然の被写体は、撮影者の意図次第でまったく異なる表現が可能です。
構図・設定・編集の3つを意識するだけで、誰でも一歩上の仕上がりに。
自然と向き合い、自分の“視点”で滝を写してみてください。